ケータイけものみち

昨日のエントリについて、海部さんからトラックバックいただきました。ありがとうございます。

グーグル主導のオープン化の動きが、どこまで「業界の本質的な地殻変動」であるのか、それとも「グーグルvs.ベライゾン」の政治的かけひきの一つなのか、ということを十分見極めて動いたほうがよい。今のタイミングで、グーグルの口車に乗ってオープン化を掲げてアメリカに大々的に参入したら、ベライゾンAT&Tから永遠にバツがつけられてしまうかもしれない。
http://d.hatena.ne.jp/michikaifu/20071226/1198729719

それは全くおっしゃるとおりであり、重要なご指摘である。特に、大手のITベンダーは携帯端末だけでなくネットワーク機器でもキャリアとお付き合いがあるので、お客様であるキャリアに対して真っ向から挑戦することはできないだろう。もし「大々的に参入」しなければならないとしたら、それはまだ時期尚早だと思う。混乱の中でオルタナティブな活動としてやってしまえるくらいに自由化されるかどうか、見極めは必要だ。

いずれにせよ、海部さんのおっしゃるとおり、タイミングを見切り、決断をするのは大変難しいことであろう。でもいざ決断をしたときに、体が動かなかったら仕方がない。だから今のうちに体を鍛えて備えておかなければならない。

だから、今の段階でやるべきことは、ビジネス開発のけものみち以前に研究開発のけものみちをゆくことだと思う。「今から試行錯誤すべき」というのはそういうことである。ケータイ開発といっても、ハードウェアではなくWebサービスのほうに重点があるかもしれないし、ハードウェアも携帯端末である必要もなく、もしかするとロボットのようなものかもしれない。あるいは、すべてがモジュール化されていく中で、特化するべき重要なコンポーネントがあるかもしれない。どちらに進むべきかわからない。そういった意味で、今までの道を外れた「けものみち」なのだと思う。

個人的には、端末そのものよりも、それによって拡張されたウェブの方に興味がある。Googleがアプリケーションをすべて支配できるわけでもないので、いろいろな機会があると思う。

政治的な主導権がどう動いたとしても、ハードウェアの性能が上がり、ソフトウェアがモジュール化していくのは不可避な流れだろう。だから、開発したものがそのまま製品としてビジネスにならなくても、そのノウハウは生かされていくと思う。

将来の状況がどうなるにせよ、2008年は「ケータイ」の再定義を模索することが重要なんじゃないか。今年を振り返ってそう思ったわけです。