MIT/Stanford Venture Lab (VLAB) "Vertical Search - Show Me The Money!"
Sept 20, 2005. 7pm- http://www.vlab.org/Htdocs/204.cfm?eventID=57
セミナー(パネル)を聞いてきたのでメモ。感想など後ほど。
Moderator: Barney Pell, EIR*1, Mayfield
Speaker: Scott Rafer, President and CEO, Feedster (ほかにもWiFinderというWi-Fiホットスポット検索などいろいろやってる)
Panelists:
Paul A. Flaherty, VP Product/Strategy, TalkPlus (かつてDECでAltaVistaを作った人)
Reid Hoffman, CEO and Chairman, LinkedIn, Ltd
Dion Lim, VP Business Development, Simply Hired (他にもepinionsとか、vertical searchの世界を渡り歩く)
イントロダクション by Barney Pell
- vertical search: 何らかのコンテクストに特化した検索(コンテクスト=業界、コンテンツの種類、などなど)。
- 利点: general searchよりも緻密な結果が期待できる。sturctured searchとunstructured searchの両方をサポートする。
- かつてWhizbang (システム/会社)をつくった。meta vertical searchのためのツール。Webページからのデータ抽出を機械学習で行う。
- このパネルのテーマ: vertical searchがどのように商売の種になるか?
Talk by Scott Rafer
"Searching the PetWeb: a vertical search cookbook"
「vertical searchのススメ」と「心得」みたいな内容。
パネル
自己紹介の後、Barneyによる質問にパネリストが答える形。
[Q] (自己紹介の中で、ちょっと話題に出た話題を引き継いで、)vertical searchでは検索質問を入力して答えを得るactive searchの他に、受動的に検索結果を得るpassive search *2 に特徴があるという話だけれど、passive search と active searchの位置づけは?
(Dion) job 検索はGoogle検索のような"fast-food" searchではなく、ある程度の活動期間にわたって職探しを支援する必要があり、passive searchは重要な位置を占める。
また、SNS (LinkedIn)などにJob情報をpassive searchとして提供することで、潜在的な被雇用者を発掘することにもつながる。(Reid) LinkedInでの例。passive queriesでは、単なるキーワード検索でなくstructural data(人物の属性など)の利用が効果的(その点でvertical searchでのpassive queryは有効)
(Paul)かつて"PUSH"がはやったけど、大きな課題は「何に興味があるか」を記述するのが難しいことだった。
(Scott)一般的にvertical searchではsubscriptionのデータの品質がgeneral searchよりもずっとよくなる。また、Googleのランキングには「適時性」という観点がない。昨日よかったものは今日もよいという考え。でもsubscriptionでは、「今日のベスト」は何か知りたい。これは毎日変わりうる。subscriptionに合った検索メカニズムは大変興味深いテーマだ。
[Q] vertical searchがBIGになるにはどうしたらいいか
(Reid) どれだけの人をカバーできるかに加え、その人がどれだけ深くそのサービスを必要とするか。たとえばJobは大変切実なもの。
(Scott) どんな分野だって検索機能を作らないという理由はない。BIGになれと投資家はいうかもしれない。ならそういう人と付き合わなければいい。スモールビジネス上等!
(Paul) 検索エンジンはあるグループとあるグループの間に立つ信頼された「仲介者」として価値が出てくる。ではどんなグループがありうるかを考えてみるとよい。
(Dion)Long tailの観点も必要。どれだけの価値がLong tailの末端まで伸びているか。それが有意であればvertical searchの価値がある。
[Q] そのニッチで地位を確立できればいいけど、どうやって?
(Scott) ユーザを知ること。ユーザのことを深く知ればそれだけよいサービスが提供できる。
(Paul) コミュニティの力を重視する。eBayが成功したのはコミュニティのおかげ。
(Dion) コミュニティに加えていえば、パーソナライゼーションも重要。
[Q] vertical searchはどうやってgeneral searchに対抗するの?
(Dion)Job検索は仕事を探す人のための「アプリケーション」であり、単なる検索ではない。Googleのようなgeneral searchが「ファスト・フード」的検索であるのに対し、もっと長いプロセスをサポートするところが違う。
(Paul)検索を汎用化するということは検索をコモディティ化することに等しい。コモディティ化が進めば、汎用検索は単なるユーティリティとなって付加価値が見出しにくくなる。その点、vertical searchはいいポジションにあると思う。
(Barney)searchだけでなくbrowseできることも強みかもしれない。検索欄に文字を入れなくてもそのサイトに行ってクリックするだけで価値ある情報を得られる。
(Dion) その点、vertical searchをやるにはメディアとしてのマインドセットが必要だ。
ある程度のエディトリアルが必要。編集者の立場としてユーザに接する必要がある。(Barney)メディアといえば、メディアは広告主のために視聴者の属性情報(demographics)を分析することに腐心しているわけだけれど、vertical searchは特定の層のユーザをひきつける。だから、vertical seachはユーザに精密な情報を提供するだけでなく、広告主にも精密な情報を提供することができる。
[以下、フロアからの質問にBarneyとパネリストが答える]
[Q] small businessでいいというけれど、かなりの投資が必要なんじゃないの?
(Scott)オープンソースを使えばそんなにかからない。LuceneとかNutchとかある。もちろんあるところまでしかスケールしないだろうが、どれだけできるかまずやってみたら?
(Barney) Whizbangはまさに個々のvertical searchへの初期投資を下げるために開発された。ほかにもIBMのUIMA SDKとかもある。
ただ、なんでも簡単に今のオープンソースで実現できるわけではない。GoogleみたいにWebページをクロールしてインデックスするだけならすぐにできるが、もしコンテンツから整理された情報を抽出しようとすると難しい(エンティティ抽出*3とか、自動分類とか)。機械学習技術が必要になるのでよい子はおうちでまねしないように*4。
[Q] Googleがめぼしいvertical searchをサポートし始めたらどうするの?
(Berney) もしだれかがdogs.comをやったらpoodle.comをやればいい。"The long tail of search"があるとおもう。
[Q] で、けっきょく収益モデルはどうよ?やっぱり広告なの?
(Scott)そうだけど、その広告が非常に特化した商品の売り上げにつながるのだから広告単価は高い。
(Dion) 特にJob検索の場合は、ばっちり条件にマッチした人を一人でも紹介したらそれは大きな価値だ。